8月の体験会は12名の方にご参加いただきました。
誠にありがとうございました!!
今回は、マインドフルネスの基本と「思いやり(慈しみ)」をテーマに、自分と他者を大切にするコミュニケーションについてレクチャーとワークを行いました。
思いやり(慈しみ)は、SIMT(自己洞察瞑想療法)では強調されないものですが、
今回はマインドフルネスについて広く知っていただく目的で体験会にて取り上げました。
ワークは、以下の内容を行いました。
・呼吸瞑想
・慈しみの瞑想
・自他の呼吸を感じるエクササイズ
・マインドフル・リスニング
思いやりとは、「他者の苦しみに対する気遣いの感覚と、その苦しみが取り除かれるようにしたいという願望」であり、以下の3つの要素を含みます。
1.認知的要素:私はあなたを理解している
2.情動的要素:私はあなたに同情,あるいは共感する
3.動機づけの要素:私はあなたの役に立ちたい
私たちは日常の中で誰か(ペットも含む)と接して、コミュニケーションをしています。最近ではパソコンやスマホなどの端末を通した非対面のコミュニケーションもあると思います。
コミュニケーションは自分と相手の言葉のやり取りや、仕草や態度、その場の空気感を共有することも含まれます。
自分が何か言葉を発したり、何か行動をすると、相手はそれを受けて何かを考えたり、感情が沸き起こったり、様々な変化が起こります。言葉や仕草、態度のような分かりやすい変化もあれば、外には現れない内面の変化もあります。
同様に、相手が何かを言葉を発したり、行動をすると、自分はそれを受けて何かを考えたり、感情が沸き起こったり、様々な変化が起こります。
コミュニケーションは、自分から一方通行、あるいは相手からの一方通行ではありません。自分と相手が交互に作用することで生まれるものです。
少し広い視点の話になってしまいますが、私たちは他者との関わりと同様に、所属する集団(家族、親せき、会社、学校など)、そして地域など社会との関わりがあります。
私たちは社会との交互に作用し合っています。社会に関与しない私はあり得ませんし、私が関与しない社会はありません(直接的なものだけではなく、間接的なものもあります)。
私が行動すれば、他者は変わりますし、周囲の環境(世界)も変わっていきます。
他者が行動したり、環境が変われば、それらに影響を受けて私は変わります。
それは目に見える変化かもしれませんが、そうではない変化もあります。
私たちは、世界(環境)の外にいるのではなく、世界(環境)の一部であり、世界(環境)を創りだす一部です。私(自己)は世界を創り、また世界は私(自己)を創ります。
自分を含めた社会や家庭、環境の変化は、さまざまな人々の行動の結果で、常に自分の前に新しい形であらわれます。
現実世界は写真のように止まってもいませんし、ビデオのように一時停止や巻き戻しもできません。現れたものはすぐ消えさって、消え去ったものはすぐ過去になりますので、変えることも、消し去ることもできません。
過ぎ去った過去に執着すると、過去は取り戻せませんので苦悩を生み出します。
皆さん自分を完璧にコントロールすることは難しいと思います。
まして、自分ではない他者や世界をコントロールすることはなおさら難しいことです。
この先どんなことが起きるのか予測することは難しく、自分の手の届かない必然の結果として起こってくるものが多いです。我々は現実を逃げたり否定せずに、受け入れていく必要があります。
この様な、私と他者、そして世界の関係性、必然の結果を受容する力を養うにはどのようにすると良いでしょか?
マインドフルネスの実践が、これらの力を育ててくれます。
そして、SIMT(自己洞察瞑想療法)は、自他の関係性と必然の結果を受容するだけではなく、受容を妨げる自身のエゴイズムを克服し、今ここで自分と周囲の価値実現に必要な行動を選択する意志の作用を育ててくれます。
さて、話が少しそれましたので、思いやりのあるコミュニケーションの話に戻します。
円滑なコミュニケーションにおいては、相手の気持ちを理解して、何を求めているのか察知する能力は円滑なコミュニケーションをするうえで重要になります。
そして、他者の喜びをともに喜ぶ心、喜びを共有することが重要な潤滑油になります。
皆さん、純粋な気持ちで他者の喜びを自分の喜びとして感じることは出来ていますでしょうか?悲しみや痛みを、ともに感じることは出来ていますでしょうか?
例えば、友人の失敗に対して、慰めの言葉をかけていながらも、心の底で相手の失敗を喜んだり、あるいは相手の感情に過剰に巻き込まれていませんか?
あるいは、友人の成功に対して、お祝いの言葉をかけていながらも、心の底では全く無関心であったり、嫉妬していたりしていませんか?
他者の喜びや悲しみを共に感じる心の障害となる、自分のエゴイズムや過剰な同一、嫉妬という両極端に気づいて受容してゆくことが、円滑なコミュニケーションを育てていく助けとなります。
思いやりを育むには、まず自分への思いやり、慈しみを育てる必要があります。
自己批判や自己否定に囚われていますと、相手の欲求に応えたり、相手に思いやりや愛情を向けることは難しいものです。
自分が安らぎに満たされると、家族や同僚、嫌いな人など、全ての生き物の存在を受け入れて、思いやりの気持ちを向けることができます。
慈しみの瞑想では、自分自身を慈しみで満たすことからはじめ、他者に慈しみを送ります。
他者への慈しみを送るには誰彼と分け隔てることなく慈しみを送る方法と、個別に送る方法(①かつて自分を大切にしてくれた尊敬できる人、②好きでも嫌いでもない人、③好きな人、④嫌いな人)とがあります。
※慈しみの瞑想を含め、SIMT呼吸法、歩行瞑想、食べる瞑想などの実施方法について、時間がかかるかもしれませんが、今後HPにアップできたらと考えています。
マインドフルネスの実践を続けていくと、自分の心に余裕がまれてきます。
そして、自分の心の働き、苦しみがなぜ生まれてくるのか分かるようになります。
そうしますと、心の余裕は他者を見守る余裕を作り出してくれます。
そして、自分の心の理解から相手の心、なぜ落ち込んでいるのか、怒っているのか、不安になっているのかなど、重ね合わせてわかるようになってきます。
そうしますと、他者の苦しみに対する気遣いの感覚と、その苦しみが取り除かれるようにしたいという願望が育っていくことになります。
常に、誰彼と分け隔てなく思いやりを持って、コミュニケーションを取ることを難しいことですので、思いやりを持てない時があっても大丈夫です。
「すべての人に思いやりを!」と完璧にしようと思う必要はありません。
このような時は、これが今の自分であることを受け入れましょう。
自分の反応に気づき、感情をあるがままに出来ると、共感や思いやりを持って人と接することが可能となります。
そして、自分、そして他者の言葉(非言語的な情報も)の背後にある本音、苦痛、苦悩、怒り、不安などの体験を意図的に聴こうとすることで、共感的に対応することができます。
次回の体験会は、9月15日(土)です。
ご興味ご関心のある方は、ご参加よろしくお願い致します。
最後に、今回の体験会にご参加いただいた皆様、このブログをお読みになった皆様に思いやり(慈しみ)を送って今回の記事を終わります。
すべての皆様が、マインドフルで、安らかで幸せでありますように!