11月3日に第1回目のSIMT(自己洞察瞑想療法)の実践会を終えました。
4名の方にご参加いただきました。
今回は,うつ病を例に苦悩が起こり,それが持続するメカニズムとストレス応答について脳神経生理学,そして心理学的な側面から説明するとともに,SIMTによってそれらがどのように改善していくのか説明しました。
SIMTでは,病気の症状や苦悩が持続し,価値(こうありたいという願いや目標)を阻害する衝動的な行動へとつながる過程を「価値崩壊の反応パターン」と呼んでいます。これは,自分を苦しめることになる心理的な反応(思考,態度,行動)であり,心理的な連鎖です。
例)病気の症状など辛いことが起きる→辛いことを考える(つらい,もう嫌だ)→不快な感情が起きる(憂うつ,不安,怒りなど)→衝動的な欲求や行動(家族に八つ当たりする,引きこもるなど)
この連鎖では,不快な感情により脳神経生理学的反応→身体症状という連鎖も含まれます。
これらの連鎖に対して,SIMTでは「意志作用」のトレーニングにより,苦悩を解消し,価値実現の反応パターンを確立していきます。
すなわち,たとえ辛いこと(感覚,感情,状況,症状など)があっても,それに過剰にとらわれることなく,自分の心の作用をよく観察し,知り(洞察し),受け入れて,自分の願い(人生の価値)を実現するための行動を選択する「意志作用」をトレーニングしていきます。
「意志作用」とは,心の深いところにある全ての心の作用(思考,感覚,感情など)を監督するものです。
例)辛いことが起きる(病気の症状など)→自分の心の作用をよく観察して,何が起きているのか気づく→症状や辛いことはやむを得ないこととして受け入れる→自分の願いに沿って行動する(症状があっても呼吸法や運動に挑戦する)。
この過程の観察する(自覚する),受け入れる,価値に沿って行動することは意志作用の働きによって行われます。
第1回目の実践会では,意志作用のトレーニングとして,SIMTの基本的なトレーニング方法について学ぶとともに,いくつかの呼吸法と自己洞察法を体験していただきました。
<基本的なトレーニング>
・規則正しい生活
早起き,朝食,運動
・呼吸法
ゆっくり呼吸法,自然な呼吸観察法
・基本的自己洞察(呼吸法とともに自分の心の働きを観察し,自覚する)
注意作用の洞察,包んで映す
・行動時自己洞察(日常生活の行動時に自分の心の働きを観察し,自覚する)
思考のチェック,食事や歩行,運動,休んでいるとき,入浴時などの自己洞察法
「包んで映す」は難しいため,出来なくても大丈夫です。
他の呼吸法と自己洞察法を継続して実践するだけでも効果はあります。
SIMTの効果を得るためには日々の積み重ねが大切です。
実践は,はじめは難しいものですが,新しい心の使い方を覚えますので、当然のことです。
実践すればするほど,素早い判断と意図的な対応が自然に出来るようになってきます。
どうぞ皆さん,ご自身の願いや目標を思い出し,価値崩壊の反応パターンに陥らないように,実践をお続けください。
次回の実践会は,12月1日(土)です。
初日に参加できなかった方の参加も受け付けておりますので,ご興味ご関心のある方はご連絡をお待ちしております。
どうぞよろしくお願い致します。